デザインで保育をもっとよくする

保育園・こども園の「入園のしおり」作成6つのポイント

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私たちが取り扱っている商品の中でも、保育施設からの人気が高いのが「入園のしおり」です。

「入園のしおり」は次年度の4月に入園が決定した園児の保護者に対して2月から3月に行っている入園説明会に配布する資料です。

多くの園では先生方が自力で作成しています。

私が入園のしおりを作り始めたのも、元々は園の先生方の負担軽減のために、先生方に代わって作ったのがきっかけですが、

「入園のしおり」の作成を通して見えてきた園の課題や解決のヒント、入園のしおり作成のポイントがあるので、みなさんと共有したいと思います。

自己紹介

初めましての方もいらっしゃると思うので自己紹介をしますね。

ハルデザインの鶴田です。

「デザインで保育をもっとよくする」をコンセプトに保育園や幼稚園、こども園などの保育施設を専門にパンフレットやホームページを作成しています。

全国の保育施設200ヶ園に訪問して、保育施設ってそれぞれに個性があってみんなちがうだ!ということを知って保育園が大好きになりました。

デザインで保育をもっとよくするため日々保育園のデザインや広報のことを考えて生活しています。

目次

保育園、幼稚園、こども園の入園のしおりが分厚い問題

年々保育施設に求められるニーズは多様化して、保護者からも行政からもいろんなことを求められますよね。入園説明会で説明する内容は増える一方です。

様々な保護者や子どもがいる保育施設でみんなが気持ちよく通えるように、利用のルールを保護者に理解してもらう必要があります。

そして、どんどん入園のしおりは分厚くなります。

しかし、保護者からしたら、分厚い紙の資料をどっさり渡されたら、それだけで負担感がありますよね。

保育施設は保護者に意地悪で分厚い説明書を渡しているわけではないのです。

それなのに「保育園って大変そうなぁ〜」と思われているかもしれません。

入園のしおりが分厚くなっていませんか?

毎年持ち物やルールが変わる問題

園で入園のしおりを作る時期になると毎年大変だという話を聞きます。

園で入園のしおりを作るのが大変な理由として、「毎年の変更」がありますよね。

せっかく作った入園のしおり。できれば毎年同じものを使って、修正は最低限にとどめたいですよね。

なぜ、毎年変更するのでしょうか?

理由としていくつか考えられます。

一つ目、行政の制度が変わる。

二つ目は園の活動や方針の転換によって変わる。

三つ目は担任の先生の考えによって変わる。

保育園には理念があって、その究極の目標を達成するために日々の保育やその保育に必要な持ち物や利用ルールがあるはずです。

統一した判断基準があれば、毎年そんなにたくさん修正は出るのでしょうか。

入園のしおりを作成する際には、入園説明会のためだけに作成するだけではなく、業務改善の一つとして内容の整理をお願いしています。

保育園に通うのが楽しみになる本

保育園の入園のしおりのコンセプト

そこて、入園のしおりを作る前にコンセプトを再定義しました。

入園のしおりは単なる保育施設の説明書ではなく、保護者にとっては「子育て支援本」職員にとっては「業務改善」と捉え直しました。

★保護者にとって

・入園説明会で保育園に通うのが楽しみになる本

・家に帰っても雑誌のように見て楽しめる本

・入園から卒園まで大切に保存したくなる保育園のことはなんでも書いてある頼りになる本

★職員にとって

・分かりやすいしおりの存在で保護者からの細かいお問い合わせを減らして業務軽減

・保育園の利用ルールの明確化でトラブル回避

・分かりやすい説明や子育ての不安を取り除く情報は保護者支援につながる

入園のしおり編集のポイント

01.保護者へのお願いとお知らせを分ける

02.「支払い」と「提出書類」をそれぞれ1ページにまとめる

03.登園・降園を1ページにまとめる

04.持ち物のページは写真を使って雑誌風に

05.言いたいことは大きく。デザインの工夫で繰り返しを避ける。

06.分かりにくい言葉や専門用語は避ける

渡したくなる。もらって嬉しいデザインを目指しています。

01.保護者へのお願いとお知らせを分ける

「入園のしおり」に掲載する情報は
・園から保護者へのお願い(保護者のすること)

・園からのお知らせ(情報提供)

に分けることができます。

「園から保護者へのお願い」には支払い、提出書類、持ち物、登降園時の注意などがあります。

入園時にすること、毎年すること、毎日すること、たまにすること(病気の時に対応や災害時の対応など)行動するタイミングも様々です。

保護者には入園のしおりを卒園まで保管して、適切なタイミングで見直してもらいたいですよね。

「園からのお知らせ」には園の理念や保育目標、保育方針、年間行事や子どもの発達段階などがあります。

「こんな内容もお母さんに伝えてあげたい!」という園の先生方の優しい気持ちが詰まっていますね。

しかし、たくさん掲載すると「保護者のすること」が埋もれてしまい、わかりにくくなりがちです。掲載する内容を最低限に留めたり、掲載する場所を分けたり、コラムの様に扱うなど、分かりやすく掲載するには工夫が必要です。

02.「支払い」と「提出書類」をそれぞれ1ページにまとめる

保護者に守ってもらいたいお願いの代表は「支払い」「提出書類」ですよね。

「保護者のすること」を分かりやすくするために「支払い」と「提出書類」はそれぞれ1ページにまとめて掲載します。

従来の入園のしおりはいろいろなところに「支払い」や「提出書類」の情報が点在している状況がありました。

具体的に例を書くと、登園の項目の中に登降園管理のシステムのICカードを発行するための手続き書類について書いてあったり、感染症にかかった時の対応のページに登園許可書について記載があったりしました。

「結局、何をすればいいのか?」が一覧になっている目次のようなページです。詳しい説明は後のページに掲載します。

一覧表示で提出忘れ防止。

03.登園・降園を1ページにまとめる

「保護者のすること」を分かりやすくするため、保護者の1日の動きに注目して編集します。

入園のしおりには、お休みの時の連絡方法、延長保育の利用方法、園の駐車場を利用する際の注意など、

登園・降園に関係することだけでも、たくさんの情報があります。

全ての保護者に共通するベーシックな1日の登園・降園についての内容は1ページにまとめて掲載します。

延長保育や駐車場については利用したい保護者だけが確認すればいいように別のページに掲載します。

04.持ち物のページは写真を使って雑誌風に

「保護者がすること」をわかりやすくするために、持ち物ページは写真を使います。

子どもの洋服や道具ってかわいいですよね。

持ち物を準備するのは保護者によっては負担を感じる人もいると思いますが、持ち物選びが楽しくなるように雑誌風に作ります。

子どもの持ち物はかわいいですよね。どんなものを用意しようか?考えるのも楽しみになりますように。

05.言いたいことは大きく。デザインの工夫で繰り返しを避ける。

守ってもらいたいお願いは何度も言ってしまいがちですよね。

例えば

「全ての持ち物に名前を書いてください。」

「子どもの体調が悪い時は保育園をお休みしてください。」

のようなことです。

しかし、文字数が増えるほど、文章は分かりにくくなります。

そんな時は、大きく、1回だけ簡潔に書きます。

キツイ印象が気になる時は、セリフの様に扱うなど、柔らかい印象にすることもできますよ。

06.分かりにくい言葉や専門用語は避ける

専門用語は分かりやすい言葉に言い換えます。

「午睡」→「お昼寝」

「与薬」→「お薬について」

「未満児」→「0、1、2歳児」

「以上児」→「3、4、5歳児」

などです。

他にも園独自で行われている活動や場所などの固有名詞は説明を加えるか、分かりやすい言葉に言い換えます。

待って。それは本当に必要な説明なの?

説明書がいらないのが一番わかりやすい状態

入園のしおりを作っていて、もっとわかりやすくならないか、常々考えています。

しかし、究極の一番わかりやすい状態は説明書がいらないということです。

園によっては保護者の持ち物は何もないので、「入園のしおり」を作っていないという園もあります。

私は全ての園がそういった保護者サービスをするべきだとは思っていませんが、

よく考えてみたら、不要なルールや持ち物を減らす工夫はした方が良さそうです。

そして、せっかく渡すのならば、保護者にとっても、職員にとっても、もらってよかった。渡してよかった。と思えるような「入園のしおり」にしたいですよね。

※「入園のしおり」は「園パンフレット」もしくは「ホームページ」、「コンサルティング」をご契約のお客様限定の商品です。

パンフレットの作成を考えている方はこちらの記事もご覧ください。

2024年1月15日更新

この記事「入園のしおり テンプレート」という検索キーワードで見にきてくださる方が多いのですよ。

入園のしおりのテンプレートを探していらっしゃった方には申し訳ないのですが、

このサイトには入園のしおりテンプレートを掲載しておりません。

かつては入園が決定した保護者にのみ配られ、公開されることの少なかった入園のしおりも、時を経て、近年ではホームページで公開されることも増えてきたように感じています。

他園で作成され、実際に使われている入園のしおりを見ると掲載内容や表現方法など、とても参考になります。

デザインの勉強をしたい方

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この記事を書いた人

ハルデザイン代表。東京都稲城市在住。「デザインで保育をもっとよくする」をコンセプトに保育園、幼稚園、認定こども園など保育施設のパンフレットやホームページを作成する事業「ハルデザイン」代表。全国の保育施設、約200箇所に訪問。一児の母。

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