こんにちは、「デザインで保育をもっとよくする」ハルデザインの鶴田です。
私はこれまで、保育施設のパンフレットやホームページを数多く手がけてきました。
その中で実感したのは、「写真の力」はとても大きいということです。
特に、園児募集や職員採用のために園の魅力を伝えるとき、どんな写真を使うかによって、見る人の印象が大きく変わります。
では、保育園のホームページやパンフレットで、どんな写真を撮れば魅力が伝わるのでしょうか?
この記事では、私が実際に見てきた事例や経験をもとに、「プライバシーに配慮しながらも効果的に伝わる写真の撮り方」について、具体例を交えてご紹介します!

こんにちは。ハルデザインの鶴田です。
「デザインで保育をもっとよくする」ことを目指して、保育園・幼稚園・こども園などの保育施設専門のパンフレットやホームページ制作を手がけています。
これまで全国200ヶ所以上の保育施設を訪問し、園ごとの個性や想いに触れてきました。そのたびに、「保育園って本当にみんな違っていて、それぞれの魅力がある!」と実感し、ますます保育施設が大好きになりました。
モザイク写真ばかりでは、園の魅力は伝わらない?
保育園で写真を撮るとき、子どものプライバシーに配慮することはとても大切です。
保護者の同意がない場合や、不特定多数に見られる場所に写真を掲載する場合は、顔にモザイクをかけるなどの対応が必要になることもあります。
ただ、モザイクがたくさん入った写真ばかりでは、どうしても雰囲気が伝わりにくくなってしまいます。
「かわいい写真」は目を引きますが、それだけでは園ごとの違いや保育の工夫まではなかなか伝わりません。
特に、園児募集や職員採用など、これから園と関わる人に向けた発信では、「この園ってどんなところ?」を伝える写真の力がとても大きくなります。
では、プライバシーに配慮しながら、園の魅力を伝えるにはどうすればいいのでしょうか?
ここで少し整理しておきたいのが、誰に向けた写真なのかという視点です。
在園児やその保護者、または職員向けの研修など、園内向けに使う写真と、
園児募集・職員採用・地域向けの広報など、園外に向けた写真では、伝えたいことも見せ方も変わってきます。
たとえば、在園児の保護者向けの写真では、子どもの表情や成長の記録を丁寧に残すことが大切です。
一方で、園外に向けては、「どんな保育をしているのか」「先生たちはどんなふうに子どもと関わっているのか」など、園全体の雰囲気が伝わる写真が求められます。
対象が違えば、写真の撮り方も選び方も変わる——。
この視点をもっておくことで、安心感と魅力のどちらも伝えられる写真に近づくことができます。
ホームページに掲載する写真の扱いについて知りたい方は

保育の記録としての「ドキュメンテーション」の魅力
最近では、保育の記録手法としてドキュメンテーションを取り入れている保育園も多いと思います。
保育士の先生方が撮る写真には、子どもの「今、この瞬間」がたくさん詰まっています。
子どもたちが夢中になっている姿、何かを発見して驚く表情、友達と一緒に笑い合う瞬間……
そうした写真には、その子の気持ちや成長のプロセスが映し出されており、見る人の心を動かす力があります。
いつも子どものそばにいる先生だからこそ撮れる「子どもとの近い距離感」の写真は、
保育の振り返りや園内の研修、保護者との共有など、さまざまな場面で大切な役割を果たしています。
表情や仕草を細かく捉え、その瞬間の気持ちまで映し出すような写真からは、園が大切にしている保育の姿勢が伝わってきます。
このように、日常の中で先生方が撮影する写真は、子どもに寄り添った視点であることが大きな特徴です。
ドキュメンテーションについて知りたい方はこの本がおすすめです
ドキュメンテーションを導入した園での話

一方で、少し引いた視点から園全体の雰囲気を捉えた写真も、園児募集や職員採用といった“外向き”の発信においてはとても有効です。
ここからは、広報や採用に効果的な写真の具体例をご紹介していきます。
俯瞰した視点で保育園の魅力を伝える写真も必要
先生方が日常の中で撮影される写真には、子どもとの距離の近さからこそ生まれる温かさがあります。
ですが、園の外にいる人たち——たとえば未就園児の保護者にとっては、子どものかわいい写真だけでは、どの園も似たように見えてしまうことがあります。
だからこそ、園児募集の際には、園ならではの環境や取り組みが伝わる写真があると、より効果的です。
保育園では日々たくさんの写真が撮られていますが、振り返ってみると似たような構図や場面ばかり…ということも少なくありません。
そうした中で、園全体の雰囲気や保育の方針が感じられる写真を意識して撮ることは、とても大切です。
また、つい見落とされがちなのが、職員の姿です。
子どもたちの写真はたくさんあっても、先生たちが働く姿が写っている写真は意外と少ないのではないでしょうか。
でも、職員採用を考えるときには、「どんな人が働いているのか」「どんな雰囲気の職場なのか」が伝わる写真はとても重要です。
求職者が安心して応募できるようにするためにも、保育の様子だけでなく、先生たちの働く姿も意識的に記録していきたいところです。

園児募集や職員採用のために保育園で撮るべき写真の具体例
保育園の場所の様子がわかる写真
- 園舎の外観や園庭
- 周辺環境がわかる写真
→ 「この園はどんな場所なのか」をイメージしやすくなる

園舎の前の広い園庭で子どもたちは思い切り体を動かして遊んでいます

園庭の植物や、水や泥で自然と関わって遊べる環境です
俯瞰した保育園の活動風景
- 遠めから撮影し、子どもたちの動きや園の活気が伝わる写真
- 例えば、園庭で遊ぶ子どもたちや、教室での活動風景
→ 「保育の現場イメージ」を持ってもらうために役立つ


手元を写した保育園で何をしているのかがわかる写真
- 絵を描く、工作する、積み木を積むなど、具体的な活動が伝わる写真
- 顔が映らなくても、子どもたちの取り組みが伝わる
→ 日常の保育を伝える際に活用しやすい


保育園で使っているものがわかる写真
- 持ち物や教材、おもちゃ、給食の様子、(制服がある場合は制服)など
- 園庭遊具など、どんな環境で育っているのかが見えてくる写真
→ 園の教育方針や特徴を伝える材料になる


保育園での子どもの様子がわかる写真
- 笑顔、真剣な表情、驚きの瞬間
- 園でのびのびと過ごす様子が伝わるカット
→ 表情豊かな子供の写真、笑顔の写真は園の魅力を伝えるのに有効

※保護者の許可を得て掲載しています。
子どもと保育者の関わりがわかる写真
- 先生が子どもと関わるシーン
- 手を差し伸べたり、笑顔で対話する様子
→ 園の「温かみ」や「保育の質」を伝える写真として有効

保育者が働いているイメージがわかる写真
- ミーティングの風景、準備の様子、子どもと一緒に遊ぶ姿
- 「どんな職場か」がわかる写真
→ 職員採用のために「この園で働きたい」と思ってもらうために重要

美味しそうな写真
- 給食やおやつの写真、子どもが楽しそうに食べる様子
- 栄養バランスが考えられた、見た目にも美味しそうな料理
→ 保護者に「安心して預けられる園」であることを伝える

再現してもOK
「そんな自然な写真、うちでは撮れません…」と思った方もいるかもしれません。
実際、保育の現場は忙しく、いつもカメラを構えている余裕があるわけではありませんよね。
大切なのは、“自然に見える写真”であって、“本当に偶然撮れた瞬間”でなくてもいい、ということです。
たとえば…
- 朝のお当番の様子を撮りたいけど、子どもが動き回ってしまってうまく撮れない → あとからお願いして再現してもらう
- 保護者と子どもと保育者のやり取りを撮りたいけれど、保護者の顔出しが難しい → 後ろ姿や雰囲気を伝える構図で撮影する
- 職員の働く姿を撮りたいけれど、バタバタしている中では難しい → 電話対応やパソコン作業の“風”のポーズを取ってもらう
など、シーンを演出して撮ることも立派な方法です。
写真にうつる「表情」や「動き」よりも、「こんな場面があるんだ」というイメージが伝わることが大切です。
そして、演出や再現であっても、それが嘘ではなく“実際に日々行われていること”ならば、十分にリアルな広報写真になります。
実際に、職員会議の様子などは、撮影のタイミングを合わせるのが難しいため、再現してもらうことがほとんどです。
職員の配置や子どもの状況を見ながら、「こんなふうにお願いします」と撮影用に少しだけ動いてもらうのは、広報写真ではよくある工夫です。
プロのカメラマンに依頼するのも選択肢
園の雰囲気や職員の働く姿をしっかりと伝えたい場合は、プロのカメラマンに撮影を依頼するのも一つの選択肢です。
園の希望や広報の目的に応じて撮影をしてもらうことで、「伝えたいことがちゃんと伝わる写真」が撮れる可能性がぐんと高まります。
日常の延長線上ではなかなか撮れないアングルや表情が引き出せるのも、プロならではの強みです。
ご協力ありがとうございました
この記事内の写真は、撮影園の許可を得たうえで掲載しています。
ご協力いただいた亀井野保育園様、栄光愛児園様、春濤会様、ありがとうございました。

撮影の際は、プライバシーの保護や保護者の許可の確認も忘れずに

保育園のGoogleマップに魅力的な写真を追加しましょう!
