2023年に書いたこちらの記事『保育園・こども園の「入園のしおり」作成6つのポイント』ですが、現在でも入園のしおりを作成する時期が来る多くの皆さんに読んでいただいてありがとうございます。
3年の時を経て2026年バージョンにアップデート!!!!

はじめに
保育園における「入園のしおり」は、保護者との最初の大切な接点です。
先生たちは日々、

保護者の方に子育てを楽しんでもらいたい

保護者と一緒に子どもの育ちを支えたい

子どもたちにとってより良い環境を作りたい
という前向きな思いで保育を行い、
「こんなことも知ってほしい」
「一緒に共有したい」
という気持ちから、しおりを丁寧に作っています。
しかし、こうした思いがうまく伝わらず、

文章が多すぎて読まれない

保護者が内容を理解していない
といった事態が起こることも少なくありません。
先生たちは決して保護者に負担をかけたいわけではないのに、
意図せず“読みにくい・分かりづらい”しおりになってしまい、
現場も保護者も困ってしまう…そんなジレンマが、多くの園で起きています。
さらに近年では、保護者ニーズの多様化にともない、しおりに掲載すべき情報が増えています。
また、行政の指導により「重要事項説明書」を作ることが求められ、内容は年々冗長かつ複雑になってきています。
こうした背景をふまえ、本記事では「入園のしおり」を
保護者にとっての“子育て支援本”として再設計し、
園の方針や保育観を伝えるツールへと昇華させるための考え方と工夫をご紹介します。
また、園にとっても「業務の棚卸し」や「職員間の共通認識の形成」につながるような、
現場で実践しやすい制作のポイントを、テンプレートとあわせて提案していきます。
この記事は、
「保護者にも職員にもやさしい」入園のしおりづくりを目指す、すべての保育関係者に向けた、実用的なガイドです。

こんにちは。ハルデザインの鶴田です。
「デザインで保育をもっとよくする」ことを目指し、保育園・幼稚園・こども園などの保育施設専門のパンフレットやホームページ制作を手がけています。
これまで全国200ヶ所以上の保育施設を訪問し、園ごとの個性や想いに触れてきました。
その中で「保育園は一つひとつ違う魅力をもっている」と実感し、
その園らしい、先生方のお気に入りのデザインを制作することを大切にしています。
園の個性を捉えて、他園と差別化し、その園らしさを表現することが私たちの仕事です。

私が「入園のしおり」をつくるきっかけ
そんな私たちですが、これまで「入園のしおり」の制作にも取り組んできました。
もともとは、以前勤めていた会社で、保育士さんの負担を少しでも減らせたらという思いから始まった仕事でした。
パンフレットのような広報ツールとは異なり、しおりは園内向けの“マニュアル”的な性格が強く、情報量も多く、しかも毎年更新が必要です。
その編集作業が先生方にとって大きな負担になっていることも少なくありません。
そうした現場の課題に応えたい―それが、私たちがしおり制作を続けてきた理由です。
当初は、園全体のブランディングの一環として、パンフレットやホームページと統一感のあるデザインで作り込むべきだと考えていました。
しかし、「入園のしおり」と向き合ううちに、その特性や本質が少しずつ見えてきました。
子どもの一日の生活の流れは、どの園でもある程度共通しています。
それに伴い、持ち物や基本的なルールにも似通った部分が多くあります。
一方で、園の方針や地域性、保護者ニーズ、そして実際の運用によって、細かな違いも多く存在します。
そうした背景をふまえると、
しっかり作り込まれたデザインよりも、
現場で柔軟に調整できるテンプレートの方が、多くの園にとって役に立つのではないか?
そう考えるようになりました。
私は、保育園ごとの想いや考え方に寄り添う“ブランディング”を大切にする一方で、
しおりのような実用的なツールには、
情報設計としてのわかりやすさ
や
誰でも扱えること
も
欠かせないと感じています。
この記事は、これまで多くの園と関わる中で得た知見をもとに、
現場の先生方にとっても、保護者にとっても使いやすい「入園のしおり」を、
テンプレートという形でご提案するものです。
必要なのに、毎年悩ましい…そんな「しおりづくり」が少しでも楽になり、
そして先生方の思いが保護者にきちんと届くことを願って、このテンプレートをつくりました。
テンプレートの中身を見たい方はこちら

第1章|入園のしおりでよくある悩み
実は私は「入園のしおり」が大好きです。
先生方が日々の保育をより良くしようと、どれだけの時間をかけて一つひとつの活動や持ち物を考えているかが、文章の端々から伝わってきます。
お母さんお父さんのために「こんなことを知っておいてほしい」「これがあると助かるかもしれない」と心を砕いて書かれた情報の数々。そうした文章に触れるたびに、私は「こんな工夫もあるのか!」と胸が熱くなるのです。
何度も繰り返し書かれている注意事項を見ると、「きっとここを保護者にわかってほしいんだろうな」と感じます。
私は、そんな“先生方の想いが詰まったしおり”がとても好きです。
でも、冷静に周囲の声に耳を傾けてみると、こんな声も聞こえてきます。
「文章が多すぎて読む気になれない」
「何が大事かがよくわからない」
「専門用語が多くて理解しにくい」
「変更が多いのに記載が追いついていない」
これは保護者からだけでなく、現場の保育士さん自身からも…
「せっかく書いたのに読んでもらえない」
「毎年修正ばかりで、何が最新かわからなくなる」
「編集作業が負担で、本業の保育に集中できない」
—そんな声が少なくありません。

1-1|毎年の修正によるちいさなズレの積み重ね
入園のしおりは、毎年少しずつ修正しながら作り継がれていくことがほとんどです。
これはとても自然なことで、園のルールや体制が変われば、それに応じて内容を更新するのは当然です。
けれど、その「ちょっとずつの修正」が繰り返される中で、全体のバランスやトーンが少しずつ崩れていくことがあります。
新しく加えた情報が過去の記述と重複したり、表現に統一感がなくなったり—その結果、「読みにくさ」や「わかりにくさ」につながってしまうこともあるのです。
「毎年更新しているからこそ」発生する構造的な変化といえるでしょう。
一度全体を見直す機会がないまま、小さな変更を積み重ねた結果、伝えたいことが埋もれてしまう——
そんな状況に心当たりがある方も、少なくないのではないでしょうか。
1-2|“伝えたい”が“読まれない”を生むジレンマ
「これも大事だから入れたい」「これは絶対伝えたい」
そうした先生方の想いから、しおりの内容はどんどん増えていきます。
でもその結果、保護者にとっては読むだけで疲れてしまう“分厚い資料”になってしまうことも。
特に入園時は、手元に届く書類の多さに圧倒されがちで、「しおりをじっくり読む時間が取れない」というのが正直なところです。
中でもやりがちなのが、「大切だから」と何度も同じ内容を繰り返し書いてしまうこと。
あるいは、「赤字で強調」「太字+下線で装飾」「目立たせようとして注意事項がどんどん増える」といった工夫も、実は“読み手にとっては逆効果”になることがあります。
情報をしっかり届けたいという気持ちはとても大切ですが、「読む側の余裕」や「情報の受け取りやすさ」に配慮した表現でなければ、かえって伝わらなくなってしまうこともあるのです。
1-3|「情報」だけでは、行動につながらない
しおりにはたくさんの情報が詰まっています。
でも、それが保護者の“行動”につながっているかを考えると、実はそこがうまくいっていないこともあります。
例えば、
- 何を準備すればいいのか
- どこに記名すればいいのか
- いつまでに何をすべきか
そういったことが、パッと見てすぐ分かる構成になっていなければ、保護者は結局園に直接問い合わせをするしかありません。
私たちはつい「説明すれば伝わる」と思ってしまいがちですが、
実際は、保護者にとって「行動できる情報」であるかどうかがとても重要です。
しおりは「読むもの」であると同時に、「使うもの」でもあります。
そして、保育士さんは子どもの気持ちをくみ取るプロであるように、
保護者の気持ちにも、誰より近い存在です。
だからこそ、
保護者が「すぐに分かる」「すぐに動ける」ために、どう伝えるかを一緒に考えていけたらと思います
1-4|変化する運用、揺らぐ土台
保育施設の現場は、制度改正や地域事情、保護者ニーズの変化など、毎年さまざまな要素によって少しずつ変化しています。
加えて、園内の職掌分担やクラス運営の担当が年度ごとに変わることで、実際の運用ルールや持ち物の指定などが毎年微妙に変わることも珍しくありません。
たとえば、「来年度の〇〇クラスは△△先生だから、持ち物どうしようか?」という会話が普通に交わされる―そんな園も少なくないはずです。
でも、本来であれば、
園の理念や方針に沿った“一貫性のある運用”があり、その上で必要に応じて調整が行われるというのが理想です。
「誰が担当でも変わらない基本」と、「現場の工夫として変えていく部分」。
この2つを整理し、軸がブレない構造の中で柔軟に運用できることが、保護者にとっても職員にとっても負担の少ない在り方だと考えています。

1-5|「説明書がいらない状態」が一番わかりやすい
入園のしおりは、いわば“保育園の使い方説明書”です。
けれど私たちは、こう考えています。
「説明書がいらない状態が、一番わかりやすい」と。
つまり、保護者が何も読まずとも自然に行動できるような仕組みやデザイン
それが、本当に使いやすい園のかたちではないでしょうか。
もちろん、現実にはそう理想的な状態ばかりではありません。
保育園は福祉施設であり、さまざまな家庭・背景を持つ人々が集まる場所です。
異なる価値観やライフスタイルを持つ保護者の誰もが安心して利用できるように、
公平性を保ち、トラブルを防ぐためのルールや説明はどうしても必要になります。
実際、一部の園では保護者が用意する持ち物もなく、完全にペーパーレス化されているため、
「入園のしおりを作っていない」というところもあります。
それもまた、一つの理想の形かもしれません。
ですが、すべての園がそうあるべきだとは思いません。
大切なのは、「本当に必要なルール・持ち物・説明とは何か」を丁寧に見直すこと。
そして、園の実情に合った“最小限で最大限に伝わる設計”を目指すことです。
せっかく渡す「入園のしおり」。
それが、保護者にとっても、職員にとっても「もらってよかった」「渡してよかった」と思えるものであったら—
きっと、子どもたちの毎日も、よりスムーズで豊かなものになるはずです。

第2章|“子育て支援本”としてのしおりへ
保育園に通うのが楽しみになる本
「入園のしおり」は、これまでどちらかというと、“園の利用説明書”という位置づけで作られてきました。
もちろん、それは間違いではありません。保護者が園のルールを理解し、安全・円滑な運営のために必要な情報を届けるという役割は、今後も変わらず必要です。
でも、私たちはここで一度、その役割を少し広げて捉え直してみたいと考えました。
それが
入園のしおりを、“子育て支援本”にするというコンセプトです。

「しおり」は、保育園と保護者をつなぐ“橋”
しおりは、ただの“説明書”ではありません。
保育園と保護者は、同じ子どもの育ちを見守るパートナーです。
そのパートナーシップがスムーズに始まり、安心して続いていくように、しおりはその関係を支える“橋”のような役割を担っています。
入園のしおりには、「園の考え方」や「過ごし方のルール」など、たくさんの情報が詰まっていますが、
本当に伝えたいのは、“一緒に子育てを楽しみましょう”という園の想いです。
しおりを通して、「こんな毎日を一緒に過ごしていきましょう」という園からのメッセージが、保護者に届くこと。
それが、このテンプレートが目指すかたちです。
そこで、「入園のしおりを作る前に、コンセプトを再定義する」ことを提案します。
保護者にとってのしおりとは?
- 入園説明会で、「この園に通わせてよかった」と思えるきっかけになる一冊
→ 緊張や不安を和らげ、園との信頼関係が芽生える“最初の出会い”として
- おうちに帰ってからも、読み返したくなる一冊
→ イラストや写真、読みやすい構成で、情報だけでなく“園の空気感”まで伝わる存在に
- 卒園まで、子育てのそばにある“心強いパートナー”のような一冊
→ 必要な情報が整理され、保護者が迷ったとき・困ったときにいつでも立ち返ることができる内容に

職員にとってのしおりとは?
保護者にとっての「子育て支援本」であると同時に、職員にとっては、しおりは「業務を支える仕組み」としての役割も果たします。
- わかりやすいしおりがあることで、細かな問い合わせが減り、業務の負担を軽減できる
→ よくある質問にあらかじめ答える内容が含まれていれば、職員の説明の手間や、同じことを何度も伝えるストレスも少なくなります。 - 利用ルールを明文化することで、保護者とのトラブルを未然に防ぐ
→ 口頭では伝わりにくいことや、言いにくいお願いも、しおりにきちんと書いておくことで、園の姿勢を丁寧に伝えることができます。 - 保護者の不安に寄り添った丁寧な情報提供は、そのまま「保護者支援」にもつながる
→ 初めての集団生活や新しい環境に不安を抱える保護者にとって、しおりの中に「安心できる言葉」があることはとても大きな意味を持ちます。
「誰にとってもわかる」しおりが、子育てを支える
このしおりは、入園から卒園までの6年間を支える“頼れるガイド”でありたいと考えています。
保育園では一般的に「入園のしおり」と呼ばれていますが、
私たちはこの冊子を“入園から卒園まで”保護者と保育園をつなぐ「保育園生活のしおり」として捉えています。
それは単なる説明書ではなく、保護者と保育園がともに子どもを育てていくための、
“日々の暮らしに寄り添うパートナー”のような存在であってほしいからです。
日々の送迎を担当している保護者だけでなく、急に代わりに迎えに行くことになった家族や親戚の方が読んでも、
「今、何をすればいいか」がわかる。そんな明快さを目指しています。
保育園の利用方法は、年々複雑化しています。
しかし、だからこそ 「誰にでもわかる」構成と情報設計が大切です。
一人の保護者しか分からない情報では、家庭の中で“子育ての負担”が特定の人に集中してしまうこともあります。
しおりが家族みんなにとっての道しるべになることで、保育園と家庭の連携はもっとスムーズになり、
結果的に、子どもたちにとっても安心できる環境が広がっていくと信じています。
保護者にとっても、職員にとっても、しおりが「伝わる」「使える」「頼りになる」存在であるために、
もう一歩踏み込んで考えてみたいことがあります。
それが
しおりづくりは、園の中の対話のきっかけにも
しおりの制作は、保護者に情報を届けるためのものですが、実は園内の見えないズレに気づく機会にもなっています。
「このルールってどう決まったんだっけ?」 「去年と違う対応になってるけど、どうしようか?」
そんなふとしたやりとりが、職員間での共通認識を深める場面につながることもあります。
私自身が制作に関わる中でも、「実はこの部分、改めて話し合って見直しました」と教えていただくことがあります。
しおりづくりが、ただの作業にとどまらず、園をよりよくするための会話のきっかけになっているのだとしたら、それはとても嬉しいことです。
第3章|わかりやすいしおりをつくる6つの編集ポイント
— 読みやすく、伝わる構成とは?—
しおりづくりは、「何を書くか」だけでなく、「どう見せるか」「どう分けるか」も大切な視点です。ここでは、実際のしおり編集で意識しているポイントを6つに整理してご紹介します。

01|「保護者の行動」と「園の考え」を分ける
入園のしおりには、大きく分けて2種類の情報があります。
- 保護者のすること:支払い、書類提出、持ち物の準備、登園時間、緊急時の対応など
- 園からのお知らせ:保育理念、年間行事、教育方針、発達段階に関する知識など
この2つが混在すると、行動すべき内容が埋もれてしまいます。
保護者が行動に移すための情報(ToDo)は明確に、できればページを分けて構成しましょう。

02|登園・降園の動きは1ページに
登園・降園に関する情報は、保護者の「毎日の行動」です。以下のような内容を1ページにまとめることで、
- 何時までに登園?
- 誰が送迎してもいいの?
- 打刻や駐車場の利用は?
日々の流れに沿った構成にすると、保護者が使いやすくなります。
※延長保育・土曜保育など、該当者のみが必要な情報は別ページに。

03|持ち物ページは「ビジュアル」でわかりやすく
持ち物に関しては、写真やイラストを活用することで、視認性がぐっと上がります。
- バッグの中身の見本
- 記名位置の写真
- NG例・OK例の比較
雑誌のように楽しめる構成にすることで、「準備が楽しみになる」ページを目指します。

04|繰り返さず、強調して伝える
大切なルールだからと、何度も同じことを書いたり、強調マークを増やすのは逆効果になりがちです。
- 同じ言葉の繰り返し
- 赤字+太字+下線の装飾
ではなく、「ここだけは絶対読んで!」ということを大きく・一度だけ」にするのがコツです。
余裕があれば、吹き出し・イラストなどで柔らかく表現するとベターです。

05|専門用語・園内用語を避ける
「午睡」「与薬」「未満児」などの専門語は、初めて保育園を利用する保護者には伝わりづらいこともあります。
- 「午睡」 → 「お昼寝」
- 「未満児」 → 「0〜2歳児」
このように平易な言葉で書き換えることが、しおり全体の可読性を大きく左右します。園独自の言葉・活動名なども、補足説明を添えると親切です。

06|コラム情報の扱いについて
SIDS対策や離乳食期の分類など、園の取り組みとは直接関係ないが保護者の支援につながる内容は、“コラム”として独立させると全体がすっきりします。
- ページ下やサイドに掲載
- 背景色を変えて「読み物」として分離
- イラスト入りで雰囲気を和らげる
園の専門性を伝えるコンテンツにもなるため、量や配置には配慮しながら活用をおすすめします。

まとめ
“読むもの”から“使えるもの”へ。
わかりやすい構成は、保護者の安心・職員の業務負担軽減・園の信頼構築に直結します。
「誰にとっても使いやすいしおり」のヒントは、こうした編集の工夫の中にあるのです。
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